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「あ、新歓に来てくれたんだね。ありがとう。適当に空いてるところ座って大丈夫だよ。」
ピンクゴールドのアクセサリーが映える、あの先輩が優しく葵に声をかけた。
葵はそれが聞こえていないのか、突っ立ったまま、代表たちがいるテーブルを凝視している。
「お待たせー。長くてごめん。」
香奈子がトイレから出て来る。
「あ、ううん。全然。」
「私ここで待ってようか?」
「あー良いよ先戻ってて。」
「ほんと?わかった。」
おぼつかない足取りで、香奈子が席に戻って行く。
私も急いでトイレを済ませ、席に戻る。
葵はどこへ行ったのだろうか、と周囲を見渡す。
すると、あの甲高い声が聞こえて来た。
ぎょっとして、その方向を見ると、葵と目があってしまった。
さっと目をそらし、目の前にある水を飲み干す。
「悠ちゃん、水じゃなくてこっち飲みなよ。」
そう言って先輩がお酒を勧めて来る。
葵の視線を感じながら、私は先輩の勧めに聞こえないふりをしていた。
「悠ちゃんのぶんまで、私が飲むので、大丈夫です!」
なぜか香奈子が張り切って、私に差し出されたお酒を飲みほす。
「おおー良い飲みっぷりじゃん。」
「けどさー俺は悠ちゃんに飲んで欲しいんだよね。」
「なんでですかー。」
香奈子が少しがっかりしたように聞く。
「そりゃ悠ちゃんは可愛いから。」
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