第1章

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第1章

「息を吐くように嘘をつく」という表現があるけれど、葵に出会って初めて、本当にそんな人が実在するのかと驚いた。 彼女と初めて話したのは、大学に入ってすぐだった。 偶然語学のクラス分けで、苗字が続いていた私たちは前後の席順になった。 私が教室に行くと、彼女はすでに席について来て、体を硬くしていた。 その姿ははたから見ても、緊張しているのが伝わり、余計に話しかけにくくしていた。 私は同じ高校から入学している知り合いが何人かいて、その時も特に緊張はしていなかった。 ただ席が指定されていたことで、友人とは離れてしまうことが残念だと思っていただけだった。 それが全ての始まりとも知らずに。
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