わたしはあなたの花を視る

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用意された部屋は4人も座ればいっぱいになるような、狭い部屋だった。 「わたしは別室で控えています。終わりましたら、質愛にある電話でお知らせください」  藤崎はそういうと、若者とわたしをあっさりと紹介して退出した。  若者は牧野と名乗った。  彼はわたしに椅子を引いて勧め、自分は反対側の席に着いた。 「何を話せばいいですか? って、僕の能力のこととかですよねえ」  彼はくすくす笑った。 えるようにしたのか、上層部が知りたがっているんでしょう?」 「その通りだよ」  わたしは椅子に腰をおろすと、デスクに両肘をつき、手を鼻先で合わせた。 「率直に言うと、上層部はきみが同僚二人の能力を奪ったとみている。わたしもそう思う」 「駆け引きなし?」 「いまさらむだだろう」 「効率良いのは好きだよ。じゃあ、教えてあげる」  牧野は乱暴にじぶんの前をはだけさせた。 「あの人たち、先輩風吹かせて僕のことばかにしたうえにおもちゃにしようとしたんだよね」  めくりあげたシャツの下にあらわれたのは彼の白い胸部とそこへ走る無数の赤い線だった。 「そういうプレイは外のプロでしろっての」  ぱらりと落ちた前髪の奥で、牧野の目が暗く光った。 「ほら見て、手首」  引き上げられた袖口から、力任せに握りつけたらしい赤い指跡があらわれた。  わたしに強烈な幻視が襲った。  ろうそくの光だけの暗い部屋、一人に両手を背後から押さえられ、もう一人が大きく足を広げ牧野の前に立ちはだかっている……。 「僕のことを出来損ないって、セクションの皆が笑うのさ。B-AIのくせにフツーの人間並みだとか、そのフツーの人間みがいにも成長できないって。僕はただのカスだって。フロアのお荷物野郎なんだからできる先輩へお礼の奉仕しろってさ」  まあ一理あるよね。と牧野は天井を仰いだ。
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