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「犯人の特定はできている、と。それでわたしにどうしろと?」
「凡庸だった社員がどうやって優秀な社員へ変わったのか、どうやって二人の人間を不能にしてしまったのかをつきとめてほしいのですよ」
「方法は厭わないと?」
「はい」
「急に優秀になった、貴重な戦力である社員もどうなっても構わないと?」
藤崎の口元が一瞬、歪んだ。同時に彼の背後の茎が勢いよくうねり、わたしの頭頂へ正方体の蕾を近づけ、寸前でぴたりと止まった。蕾が開けばわたしの頭ごとぱくりと飲み込みそうな勢いだった。そういうアクションは本人の願望に直結しているがそれは不可能だし、そもそもわたしがそうさせるつもりがない。だが、世の中には絶対というものはない。万が一、もある、が。
「……そうなったらそうなったときに、考えましょうか」
藤崎のタイミングの良さに、わたしはふっと笑ってしまった。
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