人類脳内お花畑作戦

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 降りかかる責任。いわれなき苦情。迫る期限。忙殺の日々。まさに世はストレス社会。人類は疲れ、精神を病み、中には自死を選ぶ者すらいた。平均寿命は縮む一方だった。  人口は減少の一途をたどり、このままでは絶滅へのカウントダウンも間近だった。  そんな中、人類を救いたい、とただその一心で、ある博士が恐るべき装置を開発する。特殊なナノマシンを人間の脳に侵入させ、お花畑を形成する代物だった。わけがわからない? 安心して欲しい。作者もわからない。  博士の助手やパトロンたちは最初、生物兵器じみた装置に猛反対していたが、いつのまにか肯定的になっていた。博士が密かにナノマシンをばらまいたからだ。  装置はうまく作用し、全人類は気づかぬうちに脳内にお花畑を作り、支配されていった。 「これぞ人類脳内お花畑作戦だ」  博士はもちろん喜んだ。博士の脳内もお花畑になっていたからというのは、むろん言うまでもない。  ナノマシンは人類を苗床とし、自己増殖を繰り返す。  数ヶ月後、人類はあらゆる失敗に動じず、ストレスを感じなくなり、のほほんと生きるようになっていた。平均寿命は延び、子供は増え、自死をする人などいなくなった。  人口は次第に増加し、陸地には『人』という花が咲き乱れ、やがて人口爆発を起こした。
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