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「彼女が死んだのはその二日後…その間、俺は泣き続けた……」
近くの公園に移動して長々と話を聞いて、その話が終わる頃、私は自然と涙を流していた。
これまで彼は、どれだけ辛い想いを背負って生きてきたのだろう。
私がどれだけ想像しても、きっとそれを遥かに凌駕するほど、辛く暗い道を歩いてきたに違いない。
それを思うだけで、私も涙が止まらなかった。
「なんでお前が泣くんだよ。関係ねぇだろ」
「関係……無いけどさぁ」
彼はフッと微笑み、私の涙を指で拭ってくれる。
そして更に思ったのが、彼が話してくれた彼女…唄さんという女性は、今の彼そのままに思えた。
性別の違いはあれど、どうしても彼と被ってしまう。
そう思っている一方で、彼はゆっくりと立ち上がり、相変わらず私とは一度も目を合わせてくれずに続けた。
「話は大分逸れちまったけど、まーそういう事なんだ」
そういうことだと言われても、どういうこと?
それにしても、彼が本屋のバイトじゃなくて実はオーナーだったってことも驚いたし、そのきっかけに麻衣が関わってたということも本当に驚いた。
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