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それで私が暫く呆然としていると、彼はゆっくりと立ち上がって背伸びしながら言う。
「そろそろ昼だし……飯でも行くか」
「え……?」
時刻を確認すると、いつの間にか12時を過ぎており、確かにお腹も空いてきた。
しかし彼は、どうしてこうも私を気に掛けてくれるのだろうか。
今回の件で私が貧乏ってこともバレただろうし、今の話が本当なら金目当ての貧乏女なんて一番嫌いだろうし、私はまだ彼がわからない。
なんとなく私が、一旦学校に戻ると言うと、彼はフッと小さく微笑む。
「そうだな、先ずはケジメつけないとな」
そう言って、彼は学校までついてきてくれた。
確かにあんな形で出てきてしまったので、一人で戻るには少し勇気が要ったので、本当に助かる。
それから数分、私が校門を潜ると、校内は丁度昼休みだったようで、あちらこちらで人足があった。
その悉くがゆっくり歩を進める私に視線を向け、続けて私より一歩後ろにいる彼に目を向けてざわつく。
そして暫く進み、中庭という校内で最も視線を集め易いところへ彼によって誘導されると、案の定大多数の視線が私一点に集まった。
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