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そんな校長に向け、彼は優しく声を掛けた。
「頭を上げて下さい校長先生、俺はもう父とは"勘当"同然のただの本屋さんですから…」
「…!?」
彼のお父さんって確か……いや、何だっけ?
少し悩んでる一方で、彼は更に校長先生に向けて続ける。
「だから偉そうに言うつもりは毛頭ないですが、大事な生徒が凄惨な目に合ってる場合は、絶対に見逃さないでやって下さい」
「はい!!」
そう言うと彼はすぐに踵を返し、ついでに私の手を引いて進み始めた。
「え…!?え!?何処行くの…!?」
「何処って、ケジメはつけたし昼飯行くだろ?」
「ちょっと待って!!ちゃんと説明して!!」
私は戸惑いのあまりにあたふたしていると、校門付近に差し掛かったところで、私達に立ち塞がるように麻衣が姿を現した。
すると彼は気を効かせてくれたのか、先に一人で校門から出て、私と麻衣が二人で話せるように計らってくれる。
「麻衣……」
先ず、なんて言おうかを迷う。
いつも通りなんともない感じで接するべきか、それとも先に謝罪すべきか…私が一人で悩んでいると、突然麻衣は駆け寄ってきた。
「知冬!!」
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