真実とアナザートゥルース!

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「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」 そして麻衣は突然私に抱き付き、泣きながら何度も謝罪してくれる。 謝らなければならないのは私の方なのに、私は釣られるように涙を流しながら麻衣を抱き返し、改めて私も謝罪した。 「ごめんなさい麻衣!!私…麻衣と秀平の関係とか何も知らないで無神経なこと言って…」 「そうじゃない!!私の方こそ…」 埒が明かない二人のやり取りは、どれくらい続いただろうか。 そんな二人のやり取りを、彼は校門の外でどんな気持ちで聞いていたのだろうか…暫くして私も麻衣も落ち着いてくると、麻衣はとある事実を話してくれる。 「聞いて知冬……彼のこと、あんただから私は潔く身を引けるんだよ?」 「なんで…」 麻衣は涙声になりながらも、説明してくれた。 麻衣曰く彼は、麻衣含めて他の女子に対しては"あの娘"や"彼女"や"君"等と基本的に優しく指すが、何故か私の場合だけは"あの女""あいつ""お前"等、少し乱暴に指しているらしい。 正直私は納得はしてないし自覚もないが、明らかに特別視されているのは間違いないのだとか。 でも確かに言われてみれば、彼は端からはずっと人当たりがいいとか言われていたのに、何故か私に対してだけは最初からずっと無愛想だった気がする。
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