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「いつも危なっかしくて放っとけないんだよ、お前は」
「……!!」
麻衣の応援とは裏腹に、相変わらず彼は私に興味を示してくれない。
やっぱり彼本人が言っているように、私がいつもたまたま目の前で勝手に危ない目に合っていたから、優しさで助けてくれていただけだったのかもしれない。
もしそれが私じゃなくて他の誰かだったとしても、きっと彼は同じように助けていたと思う。
そう思うと私は急に淋しく思い、いつの間にか無意識に足が止まっていた。
すると、先に進んでいた彼も私が立ち止まったことにすぐ気付き、これまたすぐに振り返って私の側まで戻ってくる。
「どうしたんだよ?」
そう言って彼は私に手を差し出してくるけど、何故か私はそれに対してついカッとなって振り払ってしまった。
「好きでもないくせに、そんな思わせ振りなことばっかしないでよ!!」
「……!!」
後にして思えば、どうしてこんなこと言ってしまったのかわからない。
本当に後悔している。
それで後に引けなくなってしまった私は、もどかしい思いをなんとか誤魔化しながら、その場から逃げるように走り去った。
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