氷の中のノースランドとブルーヘヴン

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 それから一週間ほど経ち、朝の日課であるブルーベリーへの水やりをするために、管理ハウスへと行った。すると、ブルーベリーのつぼみがちらほらできているのに気づいた。それから毎日、つぼみが大きくなるのをずっと眺めているようになった。もちろん、仕事はしっかりとしていたけどね。なんだろう。この研究施設にいて凍ってしまった私の心のつぼみも、少しずつ大きくなっているのがわかる。 トゥルルルルル  通信機のベルが鳴った。今度はコリンズ氏からの連絡かな、と思ったのだが、出てみるとおばあちゃんだった。おばあちゃんは全然連絡をしてこない私のことが心配だったらしい。おばあちゃんのほうから連絡をするにはいろいろと手続きが大変だけど、やっぱりコリンズ氏に頼みこんで連絡をよこしたんだという。 “元気だったかい? ほんとうに心配だったよ。最近は冷花(レカ)ちゃんの声も元気がなかったしね。またブルーベリー送ってあげるよ。今度はジャムじゃあなくて、冷凍ブルーベリーだよ。しっかり食べて、健康にくれぐれも気をつけるんだよ。ああ、そういえば、ブルーベリーの花はもう咲いただろう? 写真見せておくれ。わしのブルーベリー畑の写真も送るからねえ。” 「うん、ありがとう、おばあちゃん。写真送るよ。」  私はそう返事をしたものの、どうしようか悩んでしまった。やっぱり、ネットで拾った画像を貼り付けようか。そう思って、念のためハウス内のブルーベリーを確認してみると、ふたつだけ、ちっちゃなブルーベリーの花が咲いていたんだ。ノースランドの花がひとつとブルーヘヴンの花がひとつ。  その可憐な小さな花たちを見たとき、私の心の花も、少しだけど開花したのをたしかに感じた。 おしまい
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