嘘つき

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 お風呂から出てパジャマに着替える。十時だからぎりぎり電話を掛けてもいい時間だ。早紀はアドレス帳を開いて美瑠の連絡先をタッチする。 「もしもし、どうしたの?」 「どうしたのじゃないよ。キャンプは行くけど悪戯は趣味が悪いんじゃない?」 「悪戯?なんのこと?」 「変な声が聞こえるんだもの。なにか仕込んだでしょう」 「私は潔白だよ。怖がってるから幻聴が聞こえるんじゃない?でもキャンプに行く気になったんだ。火曜日にしようか?テントと寝袋は用意しておく」  美瑠はそう言って早紀の返事を待った。うん、と小さな返事が聞こえたのを聞いてホッとした。でも早紀は頭が混乱していた。  ゴールデンウイークが始まった。お父さんもお母さんも休みだ。洋服を買いに家族で街に出ることに決まった。早紀はついでに花と縫いぐるみを買ってあげようと思った。ぽつりと呟く。 「クマさん、買って来てあげるからね」 「うん、約束だよ」  この不思議な声もいずれ解決するだろう。どうせ美瑠が悪ふざけしているに違いないんだから。
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