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次の日に眼を覚ますと、白いブラウスに紺色のひざ丈のスカートを穿いた。一階に行ってコーヒーを淹れる。お母さんが「何処かへ出かけるの?」と訊いた。
「うん。デパートと花屋さんに行こうと思って。トンネルに供えるの」
「そう。あまり情をかけると憑かれるよ」
「え?」
「言ったら怖がると思ったんだけど、夜中にトイレに起きたら早紀の部屋に女の子が入っていったの。幽霊ってね、同情したら憑くんですよ。花も縫いぐるみもやめてキャンプを楽しんだほうがいいですよ」
お母さんはそう言って心配そうに早紀を見る。早紀はどうしたら良いか分からない。お供え物をしないと嘘つきになるし、でも憑かれるのも嫌だ。
結局デパートはやめにした。外は空が真っ青で天気がいい。早紀は自転車で近くの公園に行った。木のアスレチックがある広い公園だ。のんびりベンチで読書をしようと思った。
公園には同じクラスの男子が二人居た。バトミントンをしている。早紀を見ると視線を下に落としたまま固まった。そして驚いたような顔をした。遠くから斉藤という子が言った。
「早紀、その子、怪我してるぞ。病院に連れて行かなくていいのか?」
子供?二人には子供が見えているようだ。早紀は恐怖でしゃがみ込んだ。男子二人は後ろをチラチラ振り返りながら帰って行った。
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