混乱

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混乱

俺は少しずつ冷静さを取り戻してきた。 体を起こし、ぐるりとあたりを見渡した。 白い砂浜に青い空に美しい海。 沖縄か? てか暑っ さっきまで冬じゃなかった? 俺は着ていたパーカーをゆっくり脱ぎながらも、頭の中では忙しく状況整理に奔走していた。 目の前にいる天使…もとい美少年の顔つきはヨーロッパ風だ。 え、じゃあ外国?でもこの子に言葉通じてるしな。 「ちょっと整理させてもらっていいかな。」 「どうぞ。」 俺の問いに、彼は時間はいくらでもありますからと言わんばかりに、そう答えた。 「えーと、俺は確か昨晩新宿で酔い潰れて、そこから記憶がなくて…」 「シンジュクって何?」 美少年が覗き込むように聞いてきた。近くで見ると本当に可愛い顔をしていて、俺はドギマギしてしまう。 名作『風と木の詩』の美少年ジルベールのようだ。 「知らない?新宿って。」 「うん、知らない。」 俺は少し悩んでから、こう聞いた。 「ここって…日本…?」 「ニホンって何?」 俺はまだ夢の中にいるのかもしれない。 随分鮮明な夢だな。 とりあえずスマホを探そうと思ったが、見当たらない。 しかも、飲みすぎのせいでちょっと頭が痛い。 夢の中でも痛みって感じるもんなんだな…。 「また1人でブツブツ言ってる」 美少年は怪訝そうに俺を覗き込む。 「あ、ごめん。ちょっと色々と絶賛混乱中でさ…。」 そんな俺の様子を見た美少年がふとこんな事を言った。 「お兄さん、異世界から来たんじゃない?」
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