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エメラルドグリーン
「ふへ!?」
あまりに唐突な物言いに俺は変な声をあげてしまった。
「異世界だよ。信じられないかもしれないけど、ここってなんか異世界との入口になってるんだって。僕はよくわからないんだけどさ。」
「…そんな荒唐無稽なこと、誰が言ってたんだ?」
「コウトウムケイ?さっきからお兄さん難しい言葉使うよね。おじいちゃんが言ってたんだよ。前にも1度、異世界から来た人がいたんだってさ。」
「その人はどうしたの?」
「うーん、知らない。あんまり詳しく聞いてないから。」
そう言うと、彼は俺の目をじっと見た。
そして、少し考え込むようにしてから、俺に向かってこう言った。
「もし良ければ、おじいちゃんに話聞きに行く?そこ僕の家だからさ。」
そう言って美少年が指さしたのは、海の家のような佇まいのちょっとオシャレな食事処だった。
「お店やってるのか?」
「うん。僕とおじいちゃんでね。2階が僕たちの家だよ。2人で暮らしてるんだ。」
俺は訳が分からないまま美少年に着いて行った。
立ち上がって横に並ぶと美少年は小柄だった。160センチあるかどうかという感じだ。
「そうだ、お兄さん名前なんていうの?」
「璃玖(りく)だよ」
「りく、ね。僕はね、ルナだよ」
美少年ルナはそう言うと僕の方を見てニコリと笑った。
その後ろでエメラルドグリーンの海がキラキラと光を放つ。
混乱している俺の心とは裏腹に海は凪いでいた。
得も言われぬほどの美しい海と美しい少年。
なんだかそれだけで充分絵になった。
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