絶望と幸福の間

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本当に何も変わらなくていい…… ただ、じんさんの傍に居られるだけで…… それだけで、他は何もいらなかった…… ♢ 「じんさん、私、じんさんの事が大好きです……」 気持ちを伝えないでいいと思っていたけれど 半年と月日が流れた頃に、 気がついたら言葉が出ていた。 「えっ!? うん。ありがとう、嬉しいよ」 じんさんはいつもと変わらない。 突然の告白にも受けとめてくれる 最初はびっくりしたかな?って思ったけれど、 すぐに私の隣にきて髪を優しく撫でてくれている。 その綺麗な瞳に、スラッと長い指がより一層 離れられなくさせる…… あの日から長かったような、短かった気もするけれど思い出してみると決して短くはない時間が流れていた。 じんさんに好きだと気持ちだけ伝えられればいい。 ただ、それだけ、、何も望まない 気持ちをわかって貰えるだけで良かった けれど、じんさんの返事は意外だった。 「俺たち、付き合おう。ずっとそばにいよう」 そう言われて、耳元にじんさんの唇があたる…… ドキドキして気が遠くなってしまいそうになる程、顔が熱くなる。 もう……じんさんに傷つけられてもかまない。 私達が初めて付き合った日。 二人で朝まで過ごした。 朝、目を覚ますと、隣には、じんさんがぐっすり眠っていた。 窓から差し込む光がとても眩しいけれど、隣に眠っているじんさんを見つめていると、とても綺麗な顔をしていて見とれてしまう。 寝顔もこんなに綺麗だなんて 「クスッ」と自然に笑みがもれてしまう。 心がとても満たされていて 幸せ。 じんさんの顔に光が差し込む。 彼の顔に光があたらないように手で光を遮る。 もう少し寝させてあげたい。 少しの間、光を遮りながらじんさんの寝顔をみつめて幸せを感じている。 夢を見ているかのような幸せな時間。 彼の顔立ちはとても綺麗でまっすぐに通った鼻筋と透き通るような色白の肌は吸い込まれてしまいそうになる。 「う、う〜ん」 眉間にしわを寄せながら 軽く両腕を上にのばして伸びをする。 じんさんの一つ一つの仕草が愛おしい。 「起きてたの?ゆっくり眠れた?」 「うん。今起きた所だよ」 さっきまで、光を遮っていた手は急いで背中に隠した。 ほら。やっぱり、じんさんは優しい。 寝起きなのに、私の事を一番に気にかけてくれる。 とても、幸せな朝。夢のように感じてしまう。 こんな毎日がずっと続いたらいいなと願う。 『どうか、この幸せがずっと続きますように』
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