Side Y

10/39
前へ
/63ページ
次へ
 緊急コールセンターのお姉さんは、あくまでも落ち着いた声でシレッと言った。  イヤイヤイヤ、十五件? 「それって、つまり――」 『順次、修理に向かってますので、お待ちください』 「待てるか!」 『申し訳ございません』 「申し訳ないのはわかってるから――……」  ブッ!と、嫌な音がして、呆気なく通話は切れた。  俺が呆然としていると、タカハシが静かに言った。 「……スマホ、節電モードにしといた方がいいんじゃないか」 「お前、何、善処し始めてんだよ!」 「慌てたって仕方ないだろ。こうなってくると、バッテリー貴重じゃない?」 「分かったよ!」  俺は設定をいじると、スマホをポケットに入れた。暗闇が戻ってくる。 「……なんか、喋れよ」 「うん」  でも、タカハシはそれきり何も言わなかった。さっきまでは落ち着いていたように見えてたけど、ホントはコイツもビビってんだろうか。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加