Side Y

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 ミヤマさんが笑うと、花が咲いたみたいにその場の雰囲気が明るくなる。俺は、自分でも顔がデレっと崩れたのを感じながら、床に置かれたダンボールを持ち上げようとした。 「――アレ?」 「どうしたの?」  ミヤマさんが、疑うことを知らない澄んだ目で、俺を見た。 「あーいや、なんでもねえよ」 ――って、重すぎんだろ、コレ!  そういえば、紙ってのは意外に重いんだった。つーか、タカハシのやつ、コレを持ち上げて立ってんのかよ。ヒョロヒョロのガリ勉だと思ってたけど、意外に力、あんのかな。  とはいえ、ミヤマさんの手前、俺も何でもないような顔をして――実際はあらん限りの力を振り絞って――ダンボールを抱え、立ち上がった。 「で、どこへ運べばいいんだ?」 「国語準備室! あ、でも教員用エレベーター使っていいって言われてるから……」
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