Side T

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 ヨシダは、俺をその場に横たわらせると、すごい勢いで走っていった。本当に、もうゼイゼイは来ないらしい。  ヨシダは、五分もしないうちにカバンごと持って、帰ってきてくれた。俺は、まず、常備しているブドウ糖の錠剤を摂取して手足の震えを止めた。しばらく待って、ポータブル測定器で指先から血をとって血糖値を計り、適正値に戻ったのを確かめる。  これなら、インスリン注射は夕食前で良さそうだ。ポケットの中の飴のことは、秘密にしておこう、と思った。バレたら、ガチギレされそうだ。 「え……注射要らねえの? さっきの白い錠剤だけでよかったんだ? あ、いや、大丈夫ならいいんだけどよ」  ヨシダが物足りなさそうな顔をしたのが、ちょっと可笑しかった。
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