Side Y

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 ちょっとムカついたけど、ふと、もう床に下ろしてもいいことに気付いた。だって、ミヤマさんはココにいない。カッコつけたって仕方ねえ。 「よ……っと!」 「わっ、危ないっ!」 「うおっ!」  イラッとしてたしさ、ちょっとばかり雑な動き方をしちまったのは認める。でもそれより何より、荷物が重過ぎってのが、諸悪の根源じゃなかろうか。  俺は、すんなりダンボールを床に置くことが出来ず、よろめいた拍子にタカハシにぶつかってしまった。そして、バランスを崩したタカハシも、俺にぶつかってきた。  その結果――……  俺たちは、ほぼ同時にダンボールを落とした。  更には、急に重しを失った身体も大きくよろけ、激しく壁にぶつかる。  ダンボール二箱と、男子高校生二人がぶつかった衝撃は予想以上だった。エレベーターが弾むように縦揺れし、一瞬、足が宙に浮く。 ガガッ! キュウン……ガッ!という音がして、下降が止まった。 「え……っ、なに?」
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