Side Y

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「なんか今、嫌な衝撃来なかったか……?」 「ちょ……、怖いこと言うなよ……ぅわっ!」  止まっていたエレベーターが、更にガクンッともう一段落ちて止まり、何故か、照明まで消えた。 「ひっ!」  思わず小さく飛び上がる。照明が消えたら、エレベーターの中はビックリするくらいに真っ暗だ。呆然としていたら、何も見えない暗闇の中、プッと小さく吹き出した音が聞こえ、俺はつい、怒鳴り返した。 「何だよ!」 「いや、意外にビビリなんだなと思って」 「ビビリじゃねーよ!」 「リアルで『ひっ!』って言うの、初めて聞いた」  タカハシは、笑い出したら止まらなくなってしまったようだ。  しばらくクックっと抑えた声が聞こえてきたけど、やがてしゃがみこんだらしいのが、暗闇の中でも分かった。  ムカついたけど、段々どうでもよくなってきて、俺も大きなため息をつきながらしゃがみ込み、頭をガジガジと掻いた。
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