Side Y

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「こういう時、どうすりゃいいんだ?」 「うーん、そうだな」  真っ暗だからなんも見えねえんだけど、タカハシが立ち上がり、移動を始めたらしいのが気配で分かった。歩きにくそうなのは、床に転がったダンボールとかプリントとかに足を取られているんだろう。手探りで進んで、何とか操作盤の前に立ったようだ。 「何か明かり、ないかな。スマホとか……」 「あっ、俺持ってる!」  立ち上がると、スマホの画面の明かりを使って、操作盤を照らし出した。上の方にあった、非常用ボタンを押すと、すぐに緊急コールセンターに繋がった。  俺たちがこの事態について話すと、コールセンターのお姉さんはクールに言った。 『すぐに技術者を向かわせますが、現在、立て込んでおりますので少しお待ちいただくことになります』 「立て込んでる?」 『今日だけで十五件、故障が発生いたしました。こんなこと、滅多にないんですが』
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