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結局、母親を外界へ連れ出したのは子の危機という偶然だった。
明里がどんなに心を砕いて誘っても頑なに出かけなかった母親が、明里の入院先へは毎日見舞いに来た。
それによって自信を得た母親は少しずつ他の場所へも出かけて行くようになった。
夕飯の材料などの軽いものは自分で買い物に行くようになり、化粧をする日も増えた。
外へ出始めると興味の矛先が分散するのか、明里への抑圧的な態度は大分減った。時折は傲慢さが顔をのぞかせることもあったが、たまにであればそれをかわすことは長年の訓練によって可能になっていた。明里は未だにそれを微笑みながら行っている。
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