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あの漂流の夜には一つに結びついていた肉体と明里だったが、入院している間にいつのまにか、再び別々のものに戻っていた。
看護師がどんなに点滴を下手に打っても、明里は我慢することができた。肉体は生きるために必要なことは、多少の問題があっても受け入れてしまうらしい。
痛いなァ、そう思うでしょお前も、と明里は肉体に話しかけてみた。肉体は何の返事もよこしては来なかった。
入院中でも相変わらず、読書もテレビもつまらなかった。だた一つ変わったことは眠気が復活したことだった。
カフェインを摂取できなくなったせいなのか、投与されている薬のせいなのか、一日中眠くてたまらなかった。
朝もろくに起きることができず、母親が見舞いに来ても半分眠っていることもあった。
まるで肉体が眠っても生命を脅かされないと気付いて、緊急スイッチを切ったかのようだった。明里は肉体をねぎらおうとできるだけ眠り続けた。
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