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わたしを愛して
孤独感に苛まれるとき、わたしはあの人の名前を呼ぶ。心の中で。
するとあの人の声が聞こえて来る。
「澪、大丈夫だよ。僕はここにいる。
ずっとキミの隣にいる。
だけど、キミには見えないだけなんだ」
「何故、知らないうちに遠くに行ってしまったの?」
「それはね、プログラム通りなんだ。人生の最後にキミに会って、僕は本当の愛を知る。そんなふうに決めて生まれて来たから」
「何故、そんな悲しいプログラムを設定して来たの?」
「それは、今は言えない」
「何故なの?」
「今にわかるよ。そんなに悲しそうな顔をしてはいけない。笑って。そして僕を感じて」
「あなたの気配はいつも感じている。わたしが望むのは、あなたと一緒に居ることだけで充分だったのに。ほかに何も望む事はなかったのに」
「それは、僕も同じだよ。澪といつまでも笑っていたかった」
「何故?ずっと一緒に居られると思っていたのに」
「呼ばれたからさ。もうお前のミッションは終わった。もう行くぞって」
「誰から?誰に呼ばれたの?」
「マスターだよ」
「マスター?」
「それ以上は言えない。約束の地で待っているから、キミはキミのミッションに立ち向かえ」
「わたしのミッションって何?」
「それを思い出すのが、キミのミッションなんだ。眠りなさい。眠っている間に、キミはアップデートする」
そして、わたしはあの人の気配を背中に感じる。大きな背中に押し包まれて、わたしは脱力する。
「わたしのミッションって何?」
ぼんやりとした光の中に揺蕩いながら
わたしは眠りにつく。
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