対立する王国

4/7
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「では、次の方どうぞ」 私は次の参加者を呼んだ。どうも、次で最後の参加者のようだ。40代ぐらいの男性だが、何か今までの参加者とは雰囲気が違う。神妙な面持ちでザカリー王に対峙する。 「王、私の娘は目が見えなくなってしまうかも知れません。手術を受けさせて頂けませんか?」 「それが嘘なのか?」 王は不思議そうに質問した。 「嘘ではありません。王が優しいという評判は国民の間で話題になっています。今日は王にお願いを聞いてもらいにやって参りました」 男性は懇願した。 「どういう事だ? 今日は嘘つきコンテストだぞ?」 「王に謁見(えっけん)出来るチャンスはコンテストぐらいしか無いと思い、コンテストとは関係無く、お願いにやって参りました。娘を助けてください!」 よく分からない。全てが本当なのか、どこかに嘘があるのか……。ただ、様子を見る限り、本当にコンテストとは関係無く、この場を借りてザカリー王にお願いしているように見える。トークテーマが「嘘」の時とは何とタイミングの悪い……。 「海外に神の手を持つと噂される名医がいると聞いています。娘の目を手術すると高額な治療費がかかります。お願いします!」 「う~ん……。救ってあげたいが、そのような前例を作ると後々大変になるかも知れない」 ザカリー王はジミー様をチラッと見た後、男性に「考えさせてくれ」と言った。 「宜しくお願いします!」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!