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宮廷の審査員達からどよめきが起こった。私も、さすがはジミー様だと感心させられた。ジミー様はトークテーマが「嘘」だと決まった時に、このような状況を想定して辞めると宣言していたという事なのだろうか?
「分かった。そなたを優勝者とする。先程の男の娘に目の手術をさせよう」
翌日、男の娘を海外の、神の手を持つと言われる医者の元へ連れて行った。 そして、手術の結果は……。
大成功!
この手術結果は国民全員に伝えられ、シャルグ国民で良かったと思うと共に、ザカリー王や宮廷で働く人達の好感度が急上昇した。
そんな、国中がお祭りムードの中、私は夜に宮廷内で渦中の人、ジミー様を見かけた。どうも、月に向かってお祈りを捧げているようだ。何か御守りのようなものを持っている。クールな見た目からは信心深いとは思えないので、意外だなと思い声を掛ける。
「ジミー様」
すると、冷静なジミー様がビクッとして祈りを止めた。
「すみません、ビックリさせてしまいましたか?」
「いえ、大丈夫です」
「それって御守りですか?」
私はジミー様程の人が神頼みするなんて、さぞかし御利益がある御守りなのだろうと、見せてくれという感じで右手を差し出した。
「いや、これは……」
ジミー様は御守りを見られないようにポケットにしまった。
「ジミー様、国の雰囲気は最高潮ですね。こんな日々が長く続けば良いですね」
「そうですね。平和なのが何より1番だと思います。では……」
ジミー様はそそくさとその場を離れた。ごまかしきれたと思っているのかも知れないが、私はハッキリと見た。ジミー様の御守りに三日月の紋章が入っているという事を。今でこそ、平和主義のジミー様だが、若い頃には騎士団長のように敵の武将を倒した証として、三日月の紋章入りの御守りを奪っていたのだろうか?
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