5人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
知多半島は、工業と海のエリア。普通に行くとしたら、サーフィンだの海水浴だのの行楽だ。俺はチャラいけど、あんまりそういうアクティブなレクリエーションは興味がない。
「そう。ええと……どの辺だったかしら」
かおるさんはスマホを出して調べ始めた。
俺は、それをちらっと横目で見て、再びハンドルを握り直す。
まっすぐなこの道は、スピード速めでぶっ飛ばしてく車もある。いやいや、ここ一般道だから。
なんて思いながら、抜かしていく車を見る。
何か、いい車っぽいんだよな、ああいうの。さっきからスカイラインだのフェアレディZだのがガンガン追い抜いて走って行く。産業道路だから、トラックも多いんだけど。
安全運転、安全運転。
かおるさんを乗せるのは初めてだから。
退院の時以来、かおるさんに乗せてもらう機会が増えた。かおるさんの車は、真っ赤なトヨタハチロク。イメージ通りだ。かおるさんがパッソとかヴィッツとかの可愛い無難な車を選ぶとは思えないもんな。
「もうちょっと先みたいね。ナビするわ」
「お願いします」
最初のコメントを投稿しよう!