2.我慢するのが正しいの?

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『どんな…普通の同期ですよ。』 頭に矢野を思い浮かべる。 細身な身体、切長の瞳。長めのゆるいパーマで遊んだ髪、と思い浮かんだのは外見ばかりだ。 私はどうやら矢野のことを何も知らないらしい。 「それにしても、なんで響子を揺さぶるようなこと言ってきたんだろうね。」 『それは私が知りたいんですけどね。』 俺とも遊んで、だなんてふざけたことを言って、私に要求するのは身体でなくゲーム相手なのだ。 「まあ、気があるからなんだろうけどさ。」 『いや…、そんな素振りなかったんですけどね。』 普通に考えたらそうなのだろうけど、矢野の態度に私への色気は見られなかったからますます厄介で。 何を求められているか分からないだけに対処のしようがない。 「でも、その同期にバレたならほどほどにしておかないとね。響子のとこダメなんでしょ?そういうの。ちょっと遊びも控えどきなのかな?」 『うう辛辣…。』 きききと夏帆さんは声を出して笑う。 他人事だからだろう、夏帆さんはとても楽しそうで、どこか意地悪げだ。 でも、本当にその通りで、彼女のいうことは正しい。 遊びは遊びのまま、どこにも迷惑かけぬまま終わらせなければならない。 「進捗聞かせてよね。また、シリーズの打合せに行くとき、2人の様子チェックしちゃおーって。」 『うちの会社で遊ぶのやめてくださいね。それで、夏帆さんは最近どうなんです?』 私が夏帆さんに話の矛先を向けると、彼女はきらりと目を輝かせて口角を上げた。 こうなった夏帆さんは誰にも止められないな、と、自分にあった出来事は頭の中にしまい込んだ。
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