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頭痛に襲われたことでぼんやりと目を開けると、壁の時計は午前1時を示していた。
夕食も取らぬまま、セックスをするだけして体力を使い果たし寝てしまっていたらしい。
『寝ちゃ…ってた…。すみません。』
照明の消された部屋で、有馬さんがうつ伏せで弄っている携帯の灯りだけが眩しい。
目を擦りながら言葉だけの謝罪をすると、有馬さんはクスリと笑った。
「俺もさっきまで寝ちゃってた。お腹すいた?」
肉体を失ってしまうのではないか、と思うほどの勢いで私を抱き潰していた男とは思えぬくらい優しい声と表情。
それが、たまらなく愛しくて、再び素肌を有馬さんに擦り寄せた。
『空いた〜…。』
寝起きの猫撫で声は聞いてられないくらい滑稽なものだったのに、彼は「可愛い」と呟き、私の頭を撫でた。
「この時間だとウーバーないし…。あ、冷凍だけどパスタがあるよ。そんなでいい?もしくはコンビニ行く?」
『寒いから、外は行かない。パスタ食べたい。』
いつの間にか敬語が外れた私の我儘に嫌な顔1つしないで、ベッドの中から身を出して半裸でキッチンに向かう彼。
後ろ姿が遠ざかるのを斜め上に見て、徐にある質問をぶつけてしまった。
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