3.好きの形はひとつだけ?

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オフィスに2人しかいないからって、随分と気を許してくれたものだ。 私は秘密を暴露す者ではなく、秘密を共有する者だと思ってくれたのだろうか。 『有馬さんのさ、どこがいいの?』 「何、急に。」 『いや、ふと思っただけ。ほら、女遊びしてるのは、…私を例に分かってることじゃん。』 モテる有馬さんはきっと、私以外にも女がいるだろう。 聞かないが、肌感で分かる。 付き合うと言う選択肢を取らず都合よく女を遊びに使う男を、矢野はなぜこんなにも純に好きなのかと疑問に思ったのだ。 「そんなのなー…、世良はよく知ってるだろ。」 『?』 矢野は、何を今さら、と言わんばかりに苦く微笑んで、有馬さんへの好意を語る。 「俺よりずっと近くで、有馬さんの仕事見てるじゃん。あんな優秀なデザイナーいないよ。モノを見ても、人間みても。」 『仕事出来る男が好きなの?』 そうか、それは確かにそう。 私にとっても矢野にとっても有馬さんは上司。 私だって、男女の関係になる前のそこには憧れがあった。 「そりゃあ、それが1番かっこいいじゃん。」 仕事の話をするときとはまた違う、目の輝きを見せる矢野が眩しい。
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