4.ホントのことは言えぬまま

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夕方から始めたバーベキューでは、もうすっかり出来上がってる人もいる。 私自身、はしゃぎつかれて身体は心地よく、気怠かった。 夕日が沈むのを眺めながら、肉を焼き酒を飲む。 雑多に先輩後輩が入り混じる空間なのに、こんなときにも隣にいるのは矢野だった。 「ねえ世良、森川さんめちゃくちゃ飲んでる。弱いくせに。」 『良くない流れだな…。あんたのとこの先輩でしょ、止めてあげなよ。』 こういうときに同期で固まるのは良くないのかもしれない。 しかし、幹事の名の下で明日の予定などを軽く話しながら、もうぬるくなった缶チューハイに口付けるのはどうも心地よかった。 矢野が私に心を許してくれたからだろうか。 互いの秘密を共有しているだろうか。 私たちの間には、去年の夏とは180°違う時間が流れる。 「おい!矢野ー、こっち来いよ!」 噂をすれば、私たちの2つ上の先輩である森川さんがゲラゲラと矢野を呼んだ。 この宴はきっと夜中近くまで続いて、明日には二日酔いの人も出てくるだろう。 その事を察しながら、苦笑いで矢野に「行っておいで」の意で頷いた。 「無視しよう。」 しかし矢野は、この場から離れようとしない。 私なら、仕方ないなあと先輩の元に向かうけどな、と首を傾げる。
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