4.ホントのことは言えぬまま

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*** 学生の頃みたく若くない私たちは、夜通し遊ぶことなんかもう出来なくなっていた。 男女別のコテージで風呂を済ませ、酔いに身を任せて皆が眠りについたころ、私は何となく眠れなくなって外に出る。 『あっ、有馬さん。』 「世良ちゃん。」 コテージから少し離れたベンチに、有馬さんの姿があるのが分かった。 会社の集まりということもあり、海でもバーベキューでも、彼と私が近くにいる事は無かったから、なんだか久しぶりの気がする。 声をかけると有馬さんがヒラヒラと手を振るものだから、私は遠慮がちに隣に座った。 『何してるんです?』 「酔い覚まし。俺飲んだ後、なかなか眠れなくって。」 『寝てくださいね、明日運転なのに。』 隣にはいなかったけれど、有馬さんがビールを飲んでいたことも、酔って饒舌になっていたことも、知ってる。 見ていたから。 周りに気を配るフリをして、どこか目で追ってしまっていたから、知ってる。 好きとか嫌いとかではなくて、深くまで知っている相手のことは嫌でも目につく、そういうものだと思う。 「わー辛辣。」 「今日全然喋ってない気がする。他の室と交流出来た?」 喋ってないのは有馬さんも避けてたからでしょ、とは流石に言わない。 『あー、でもずっと動いてました。幹事だし。』 2人きりなのに上っ面で話す感じがどこか気持ち悪くて、隣に座った事を少し後悔する。 普段なら、2人きりはセックスをする合図でもあるから。
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