1.性に身体はつきものか?

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『…何が目的?』 「物分かり良すぎない?」 手のひらでギュッとスカートの裾を握り、力み捻り出した質問には、質問で返ってきてしまった。 まるで会社でデスクを囲み、家具の企画を出しているときみたいな物言いだ。 ざわざわと心が蠢くが何も発せず、口を噤んで矢野の出方を待った。 すると、彼はようやく私としっかり目を合わせた。 飲み込まれるくらいに真っ直ぐな視線に、ドキ、と小さく心臓が動く。 今まで知らなかったけれど、矢野の切長の瞳の奥はこんなにも漆黒なのか。 「俺とも遊んでよ。世良のこと、タイプなの。」 吐き出されたのは、冷たい空気を揺らす発言。 私はごくんと喉を鳴らして息を呑み込むしか出来なかった。 矢野に対しヤラシさを感じない、のは勘違いだったらしい。 悪魔みたいな笑みを口元だけで浮かべた矢野から、初めて男の匂いを感じた。
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