1.性に身体はつきものか?

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日付が変わり2時間が経った頃、シャワーを浴びて化粧を落とし、矢野のTシャツに身に包んだ。 使われている柔軟剤は私のとは違うもので、これが1番他人の家に来たことを感じる瞬間。 先にシャワーを済ませた矢野は、ベッドに寝転び携帯を弄っている。 彼が身に着ける色違いのTシャツからは背中がチラリと覗いていた。 会社で接していても分からない、細いが筋肉質な腰付きに、小さく息を呑んだ。 『同期の前で素っぴんになるなんて。』 「全然わかんない。化粧してた?」 『それはそれで失礼よ。』 「可愛いって言ってるの。」 慌てて自分の弱いところを晒すように頬をつねって見せたが、振り返った矢野は風呂上がりの私を見ても顔色1つ変えない。 まるで古くからの友人のような扱いを受け、分からなくなってしまった。 一体私は何をしに、ここに来たのか、と。 座る場所が見当たらない。 普段なら迷わずベッドに腰掛けるが、この場合の正解など私は知らなかった。 私が躊躇っているのに気付いたのだろう。 矢野は布団を捲って手招きをする。 「こっち、一緒に寝よ。」 相変わらず矢野に色気を感じることはなく、私はおずおずと遠慮がちにベッドに手を沈める。 私の体重を受けてギッと軋んだベッドは、若干の温かみを帯びていた。
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