十四.

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十四.

晴れ渡るように輝く一面の霧の中を、身体(からだ)も、(たましい)も、個なるものの全てを失ったような私は、曖昧に、溶け合うように、(ただよ)っていた。 「翔宙(ショウ)……ずっとここで待ってるから……ずっと一緒だよ……ママはいつでも、いつまでも、ずっと一緒にいるよ……」 ぼんやりとして生ぬるく薄れる意識の中で、私は小さくつぶやき微笑んで、しかしやがて目を閉じると、霧の中へと散り広がり、消えて行った。 終
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