14人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
十四.
晴れ渡るように輝く一面の霧の中を、身体も、魂も、個なるものの全てを失ったような私は、曖昧に、溶け合うように、漂っていた。
「翔宙……ずっとここで待ってるから……ずっと一緒だよ……ママはいつでも、いつまでも、ずっと一緒にいるよ……」
ぼんやりとして生ぬるく薄れる意識の中で、私は小さくつぶやき微笑んで、しかしやがて目を閉じると、霧の中へと散り広がり、消えて行った。
終
最初のコメントを投稿しよう!