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三.
小学校に上がるとさすがに泣き喚きはしなかったが、翔宙はいつも一人でぼんやりと何か考えながら、ぶつぶつとたくさんの登場人物が現れる物語のような独り言をつぶやいているような子で、周囲に上手くなじめず、友達らしい友達はできなかった。
それでも家に戻れば、六年生になってもなお、
「ママ!お買い物行く!?行くなら一緒に行く!」
言いながら満面の笑みで玄関から真っ直ぐに私の元へ駆け込んできて、私の力では支え切れない程に大きくなったというのに、抱っこをせがみ、
「わかったから、一緒に行くから、下りてよぉ!」
と私は抱き上げた翔宙の重みに、思わず床に倒れ込むのだった。
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