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六.
それから数ヶ月が経った。
忙しく単身赴任も多かった夫は、一人息子の面倒を見るため会社を辞め、それまでの付き合いを活かして半分在宅でもできる新しい仕事を得た。
そこで家事もこなしつつ、学校にも行かなくなり精神的に不安定な様子の翔宙を病院に連れて行ったりしていた。
「なぁ、翔宙、母さんのことは本当に悲しいし残念なことだ。父さんだって本当につらい。だけどな、母さんの分まで二人で頑張って生きていかなきゃ駄目だ。男だろ?父さんと一緒に頑張ろう」
ごめんなさい、あなたの人生も狂わせてしまった。
あなたは仕事が生き甲斐で、そんなあなたをずっと支えようと誓い、そして「老後にはその分、私のわがままを聞いてもらうんだから」なんて笑い合ってた二人の夢は、もう決してかなわない。
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