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九.
どうしたの?大丈夫?
駆け寄って抱き締めてあげたいけど、ごめんなさい、私は何もできないの。
ごめんなさい。
みんな、ごめんなさい。
全部、私のせい、私のせいなの。
私が突然死んだりしてしまったせいで、こんな……。
「……ったくよぅ!みんな何ヶ月経ってもいつまでもぐずぐず泣いてやがって、話が何も進まねぇよ!お前もいいかげん突っ立ってるだけじゃなくて、うんとかすんとか言ったらどうなんだ?ずっと一緒にいようとしてんのはなんとなくわかるんだけどよぉ、これじゃいてもいなくても変わんねぇだろうが!」
荒々しい声が部屋に響き、うずくまっていた翔宙が立ち上がると、私の前へと詰め寄ってきた。
あぁ、顔をゆがめて私を睨み付けてくるこれは、最初に表れた、十八歳の闘真。
ごめんなさい。
私のせいで、翔宙は翔宙から消えてしまって、翔宙の心は五つに割れてしまって、それぞれが別の人間として振る舞うようになってしまった。
どうしたらいいんだろう。
ごめんなさい、私には謝ることしかできない。
五人が代わる代わる色んな言葉を掛けて来るけど、私はそれに何一つ答えてあげられない。
ごめんなさい。
せめてここで見守っているから、いくらでも甘えていいから、いくらでも責めていいから、私はここで全部受け止めるよ、こんなだけど、翔宙といつまでも一緒にいるよ、ごめんなさい。
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