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1 お兄ちゃん!転生先までついてこないで!
1ー1 転生しちゃいました?
「ぎぃやぁあぁぁあっ!」
気づいたとき、 僕は、すごい勢いで地上へと自由落下していた。
風圧に、体が悲鳴をあげる。
い、息が。
できない!
何?
この状況?
俺は、落下していきながら、妙に冷静に考えていた。
僕は、なんで、落ちていってるの?
一瞬、意識がとんだ。
『お前には、呪いがかけられている』
そう、その誰かは、言った。
僕は、ぼんやりとそれを思い出していた。
『お前には、神殺しの呪いがかけられている』
神。
確かに、悪神を神というなら、そうだ。
僕は、罪人、だ。
はっと、意識を取り戻した僕は、落下しながら叫んだ。
「たぁすけぇてぇ~~っっ!!おにぃちゃぁあぁん!!!」
そして。
僕は、意識を完全に失った。
目覚めると、僕は、うっすらと光る床の上に寝転がっていた。
ここは?
顔をあげる僕の目の前にしわくちゃの老婆の顔があった。
「ひぃやぁっ!」
思わず声を出して飛び退いた僕に、老婆は、きひひっと不気味に笑った。
「久しいのぅ、言霊使いの小僧よ」
「ことだま、つかい?」
なんのことだったっけ?
僕は、小首を傾げて老婆を見た。
白い着物を着た老婆は、髪を振り乱して、僕を振り向いた。
「急ぐがいい。呪いがお前に追い付き、お前を食い殺すまでにいけ!」
「のろ、い?」
僕は、訊ねた。
「なんだっけ、それ?」
ふん、と老婆は、鼻を鳴らした。
「まだ、呪いはお前に追い付いてはおらんようじゃな」
「だから」
僕は、声をあらげた。
「のろいって、何?」
「忘れてしまうがいい、小僧よ」
老婆がにたり、と笑った。
「かつて、お前が犯した罪を」
老婆が僕の額に触れた。
ぎゅるん。
僕の目玉が裏返り、頭を激痛が襲った。
「いタァぃっ!いたぃいっヨォっ!!」
「忘れるがいい」
老婆の声が遠くに響いた。
「お前の殺した神のことを」
僕は、目を閉じた。
深い、深い、闇の中へと落ちていく。
暗い。
遠くに、光が見えた。
そして、僕は、その光へと引き寄せられていった。
「オギャァアァァア!!!」
僕は、ただ、泣いていた。
なぜかは、知らない。
ただ、泣いた。
そして、僕の意識は、消えていった。
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