美由紀と盆栽

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し〜かし、仕事をがんばらなければ、趣味の 盆栽もできない。 よし、明日もがんばるべー、とベッドに入った。 朝、目が覚めて 「今日は大事な会議がある、気を引き締めて 行かなければ」と身支度を整え、化粧もバッチリ 会社に向かった。 今抱えている大事な仕事、これが決まれば 大きな成果になる。なんとしても受注に 繋げなければいけない。 会議も終わり、翌日に取引先に 向かうことになった。 そして当日、こちらは専務に部長に そして私、三人で行くことになり、 取引先につき私たちは応接室に通された。 そして部屋に入るといきなり目に 飛び込んできたのは、枝振りの良い黒松の盆栽と 五葉松と紅紫檀それと、もみじのどれも 素晴らしい盆栽。 誰が手入れをしているんだろうと、気になった。 専務も部長も私が盆栽をやっていることなど 知らないというか言ってないから知るわけがない。 そんなことを考えているうちに 男性が三人、入ってきた。 まず、名刺交換をする。 すると相手側の人たちはなんと社長が直々に きたらしい。うちの専務も驚いていた。 客先の社長が不満そうに 「今日はお宅の社長は何か用事でもあったのかな」 といきなり聞いてきた。 専務が何とか言い訳をしていたが、 客先の社長は、不機嫌をあらわにしていた。 私もこれはまずい、絶対にまずい状況だ。 ほんの一、ニ分沈黙が続いた。 話を変えなければと私は、応接室に 入ってきた時から気になっていた 盆栽のことを聞いてみた。
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