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けど、おばあちゃんがこの世から去ってしまった時。
焦燥感。それが私の頭のてっぺんから足の爪先までいっぱいになっていた。ここまでひどい精神状況になるとは思わなかった。おばあちゃんを失った悲しみはもちろんあるけれど、夢を叶えることができなくなってしまってから見えた現実があまりにも残酷に見えたからかもしれない。
プルルルル
まだ葬儀を終えたばかりの時に電話がかかってきた。
「もしもし」
「おお、ようやく出たか。さっきかけたのになんで出なかったんだ」
暗い気持ちを抑えつつ、電話に出るとオーナーからだった。今日一日、葬儀があると伝え、連絡は今日一日できないと伝えたはずだ。一体なんなんだ。静かに怒りが込み上げてくる。
「なんだ、その暗い声は。俺はオーナーだぞ、上司に対して何だ、その態度は!」
「…」
何かが私の中でプツリと音がしてガタガタと崩れていくのが分かった時だった。
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