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「えっ? どゆこと?」
まさに寝耳に水とばかりに、高原は目を瞬かせた。
「君は、俺に特別興味があるわけでもないだろう。学校のクラスメイトということ以外、接点もない。なのにどうして、俺に会いに来たり、そうやって笑いかけたりするんだ?」
「ええ? そんなの、友達だったら普通じゃない? それに別に私だけじゃなくて、他の女の子だってあなたに喋りかけたり、ここへ遊びに来たりするでしょう? あなたモテるんだから」
「他の女子たちは、俺のことを恋愛対象として見ている。俺に特別興味を持った人間だけが、俺に笑顔を見せてくれる。でも君は違うだろう? 君が想う相手は他にいるはずだ。どうせ同じ愛想を振り撒くなら、その一人だけを相手にすればいいのに」
高原が狭野に恋心を抱いていることは、誰の目にも明らかだった。
しかし当の本人はバレていないつもりなのか、こういった話題になるとすぐにしらばっくれようとする。
「……さ、さすがモテる男は言うことが違うわね。自分が恋愛対象として見られてるって、普通はなかなか言えないわよ?」
やはり、話を逸らされてしまった。
あまり深追いするつもりもないので、祓川も気にせず続ける。
「俺は正直、君を含めたクラスメイトたちのことを友達だとは思ってない。家のこともあるし、一緒に遊ぶ時間もない。だから、わざわざ愛想を振り撒く必要もないし、それで嫌われても仕方がないと思っている。それは俺の態度を見ていれば、君もわかっているはずだろう?」
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