新ウィルスの驚異

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新ウィルスの驚異

「WHO はパンデミック警戒レベルをフェーズ5に引き上げました」  テレビの中でアナウンサーは口をつぐみ、テロップがひたすら流れ続ける異様な光景。  驚異的なスピードで世界規模の広がりを見せている今回のウィルスを、WHO は「Liar virus(うそつきウィルス)」と名付けた。  その名の通り、罹患した患者は「嘘しかつけない」体になってしまうのだ。  潜伏期間はおよそ二週間。 感染経路を調べた調査団は、『罹患した患者の発する嘘を聞くとうつる』という驚愕の調査結果を発表した。  更には電話の通話や、罹患者の上げた動画音声からも感染が確認されると、世界は疑心暗鬼に包まれた。  誰の発言も信用できない。 声を耳にしたら感染するかもしれない。  情報を遮断した人々の行動は統率がとれなくなり、世界経済は破綻寸前に追い込まれた。
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