最終話 <俺は負けねぇ!!>

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最終話 <俺は負けねぇ!!>

俺は舞台袖で出番を待っていた。 「本年度の日本アクターズアワード、 助演男優賞は、佐伯博也さんです!」 大きな拍手とスポットライトの中、俺は舞台の真ん中に歩いて出た。 「プレゼンテーターは 昨年度の助演男優賞を受賞した中野智巳さんです」 トロフィーを抱えた中野がゆっくりと歩いてきて、 それを受け取ると、俺たちはどちらともなく肩を組んだ。 「あ、こいつのゲイ説は嘘なんで!」 俺を指差して中野は言った。 「さて、来年はどっちが主演男優賞かな?」 「負ける気がしねぇ!」 俺たちは睨み合いながらも「ははは!」とお互い笑いあった。 70112dcf-81d6-4e9d-a20d-76049512d343 *********************** *********************** *********************** 授賞式の後、しばらくして俺は中野の家に招かれた。 「さえきさーーん!」 玄関から元気よく拓海くんが出て来て、 その後ろに熊坂さんが顔を覗かせた。 「拓海くん、少し大きくなったな! 熊坂さんはヘアスタイル変えたんだね」 そう言うと奥から中野と熊坂さんが出て来て、 「わー、やっぱりだまされたーー」 と笑顔で言った。 「え? あれ?」 俺が戸惑っていると、熊坂さんが言った。 「双子の妹の小桃です。 今、愛媛から遊びに来ていて」 「え? 双子だったの!?」 俺は二人を見比べた。 「美しく咲く小さな桃の花。 二人が生まれた時、庭の小さな桃の木が 満開に花を咲かせていたんだって」 中野がそう言い、 俺は「へー」と言いながらリビングに通された。 「廃れヒーローは彼女のために再び立ち上がる」完
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