194人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんにちは朔太郎くん」
朔太郎が店の前を掃除をしていると、アロハシャツに短パンと身軽な服装でサングラスの男が尋ねて来る。
「え? あ、この間の? な、なんすか? 」
朔太郎が男からすぐに目を逸らしホウキでゴミを集める。
「調べたよ。おねーちゃん。薬物中毒でだいぶ入院費が掛かるみたいだねぇ」
男の言葉に朔太郎は手を止め男を睨みつける。
「何が目的なんだよ。そんな事まで調べて」
「おじさん達はね、この辺一帯の土地を買い取る為に雇われて居るんだけど、この居酒屋とあそこのペンションのオーナーが、うん。と言わないせいで話が進まないのさ。で、ここの居酒屋のお兄さんは威勢が良くて、青年部のリーダー的な存在だろ? この陽まりさえOKだしてくれれば話が済むんだけどさあ」
男は顎髭を触りながら、にやにやと朔太郎に話しをする。
「広斗さんは俺なんかが何か言っても無駄ですよ」
朔太郎は手でゴミを拾いながら袋に入れていく。サングラスの男が手に持っていたセカンドバッグから、朔太郎の目の前に帯のついた札束を2つ出す。
「これで……ここの奥さんとデキちゃってくんないかなぁ」
「は? 陽子さんと? はっ。バカな。そんな事できませんよ」
朔太郎は札束を一瞥した後、すぐに鼻で笑う。
最初のコメントを投稿しよう!