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「ここのオーナーさん、何とも正義感が強くて自分は正しいって言う目がムカついてねぇ。ちょーっと鼻をへし折ってやりたいなぁって。奥さんとデキちゃえば何かと話も通しやすいでしょ? ねぇ朔太郎くん」
「無理に決まってます。大体なんで俺がそんな真似……」
「お姉さんお金が無くて、病院出なきゃなんでしょ? ちゃーんとおじさんがお金払ってあげるから安心しなさい」
サングラスの男が紙袋に札束を入れて朔太郎の手に持たせる。朔太郎の目を見透かす様に、頬を上げ口を緩ませる。
「よ、陽子さんに……そんな事はできません……」
朔太郎は下を向いて静かに答える。
「ふーんそう。なかなかお似合いだと思うけどなぁ。じゃあ他に手を考えよう。まだまだ時間はあるからね」
サングラスの男は朔太郎のズボンの後ろのポケットに入っている携帯を取り出し、自分の番号を入力する。
「それじゃあ、また連絡するよ。お姉さんによろしく」
サングラスの男は足元のサンダルを鳴らすように陽まりを後にした。
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