1/1
前へ
/2ページ
次へ

 倒れたもう一人の自分を見ながら、私は喜びのあまり、満面の笑みを浮かべていた。  自分が裸で濡れていることから、おそらく自分はクローンなのだろう。  だが、今まで生きた記憶があり、そして、この願望があるから、目の前の倒れた自分と同じと言っていいはずだ。  その願望とは、自分を殺すことだ。  私は昔から、自分のことが嫌いだった。  思うように動かない体、遅い思考、自分勝手な性格がものすごく嫌いだった。  嫌い過ぎて、よく自傷行為をしたが、どこかブレーキがかかって、満足しなかった。  それに、矛盾するようだが、別に死にたいわけではなかった。  ただ、自分を殺したいだけだった。  そして目の前に自分がいたとき、これはチャンスだと思った。  だから傍らにあった刃物で刺した。  思った以上に呆気なく死んだが、まだ足りない。  ヒモにトンカチに複数の刃物…  やりたいことはまだある。  その前に、この死体に防腐処理をして長くもつようにしなければならない。  まぁ、これがダメになっても、また新しく作ればいいか…
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加