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006隊 シーズ・マーキュリー
ヒューズ・ブライアント
「ああ! シーズ先輩とバディだ! ウィル!!」
ヒューズは自分の名前を探しているウィルの背中に飛びついた。
「うわっ」
「シーズ先輩とだよ、ウィル! ああ神様ありがとうございます、ありがとうございます!」
ウィルは勢いでヒューズを背負ってしまった。ヒューズは、ウィルの背中でガッツポーズを取ったり神に祈りをささげたりと忙しそうだ。
「ヒューズ、ちょっと大人しくしてくれ。オレの名前が探せない……」
ウィルは隊につけられた番号と名前を目で一つずつ追っていく。
「あった」
059隊 ウィルフレッド・ブラッドバーン
レイフ・ベックフォード
自身の名前とともにあったのは、先輩の名前ではなかった。しかし、それは自分が軍人として焦がれるほどに憧れる人の名前。
「レイフ・ベックフォード……?」
「oh,God...」
「ヒューズ!」
「ああ、なんだいウィル」
まだ神への祈りをやめないヒューズを背中から降ろして話を聞かせる。
「レイフ・ベックフォードと同姓同名の先輩はいるか?」
「えっ、レイフ・ベックフォードだって!? あのBSOCの精鋭の!?」
「わからない。彼に憧れた教官が、タイプミスをしたのかも」
的を得ないヒューズの反応はウィルの耳を右から左へ通過していった。ウィルの脳裏を様々な憶測が飛び交う。
「でも、夏にBSOCとの合同演習もあったし、もしかしたらそこで目をつけられたのかも」
「そんなわけない。あのときは特に何の功績も──」
「ああ、ウィルいたね。こちらへ来い」
担当教官に呼び出され、ウィルは素直に従った。ヒューズは眉をあげてアイコンタクトに頷く。後で詳しく聞かせて、ということだろう。
(タイプミスについての説明か、あるいは……)
先を歩く教官が応接室に入って行くのを見て心臓が飛び跳ねた。扉を開けた先にいたのは──。
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