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『では、早速なんですが』と女神さんが手のひらを俺の方へ向けた途端、地面から青っぽい光の玉が出てきた。
『私はあなたの望むギフト、つまり能力を【書き加える】ことが出来ます。』
『能力を書き加えるというのはそのままの意味で、私があなたに対し好きなステータス及び能力を追加出来るという事です。』
つまりはお前のステータスとか勝手にいじれるけど俺の意見を尊重してやろうみたいな感じか…
『はい、ざっくりと悪い神様っぽく言うとそんな感じですねぇ。』
「ウソ…俺声出てた?」と聞き返してみる。
少なくとも相手に悪い印象を与えない事は言わないつもりだったんだが…
『まぁ、女神なんでそこら辺は神様の力という事で納得して下さい。』
あっ、なるほど神様の力か
『では、決めていきましょう』
『この青い球体は、あなた自身を投影した物、つまりはあなたです。』
『プライバシー保護、もといなんやかんや言われるのは嫌でしょうからあなたにあなた自身のステータスをいじれる様にしておきました』と説明が続いて、ようやくその【キャラクリ】のような時間がやってきた。
「うっし…いっちょやってみますかね」
と意気込んだのは良いがどうしたものか…
特に制限なんかは聞いてないが、【世界最強】みたいな感じにしたら絶対つまらんだろう…
「転生についてなんだが…」と気になっていたことを聞いてみる。
「コレは魔王とか倒すのが目的か?」
『ぶっちゃけるとそんな事ないですね』
『魔王倒すなり、ゆっくり生きるなり自由にして貰って構いませんよ』と
「となればぁ…」能力は便利系、生活で役立ちそうな事を…後はちょっとあっち系(厨二病)な能力は欲しいよなぁ〜せっかくだし〜♪
だとすると…うん、コレで出来たぜな。
「女神さん、ステータス終わったよー」
女神さんに報告した後、球体の奥を見ると
女神さんが奥で『ふふふふ…終わっちゃった…また一人になるわー…』と嘆いていた。
申し訳ないと思っていたら1つ思いついた。
「女神さんは、転生先でどんな扱いなの?」
『私はー…信仰する神ですね。』
『戦闘も農作もなんでもござれみたいな便利系女神ですねー』
ふむふむと探偵っぽい仕草をしたあと、
「もうひとつ追加して…と今度こそ行けましたー」と報告。
『では、完成したあなたのステータスを同期、更新して…』そう言うと青い球体が割れ、
体の周りで青色の何かがふわふわしている。
そのふわふわしている何かが体の中に入ってくると、体の中に俺がステータスとして入れた能力が当たり前のように頭の中に【情報】
が入ってくる。
全ての情報の更新が終わると、女神が立っていたであろう場所は大きな扉に変わっていた
『あなたの転生情報は確定になりました。』
背後からそう聞こえたので振り返ると、そこに女神の姿は無かった。
『あなたの旅の、あなたの人生の幸せを願って』
「女神さん」と初めて会った時のような遮り方をした。
『…なんでしょうか?』
「きっと、またいつか、貴女に会えると俺は信じているから。」
過去に俺が言えなかった…大切な人を失う前に言いたかった言葉を、貴女に伝えたい。
「だから、また今度…たくさん話をしたり、お茶を飲んだりしよう。」
「俺が飽きるまで」
ここからスタートしてみせる。
今度こそ、望む結果にしてみせる。
俺の勝手で、落ちた地獄から這い上がって。
俺が勝手に捨てた希望を、掴んでみせる。
『…うん…ありがとう…』
それが今の【彼女】からの最後の言葉だった。
コレは、俺が生きる物語。
最低でも、自分勝手でも、望む場所にたどり着く為に歩き出す。
「この扉の先が、俺の新しい人生のスタートライン」
とても小さい、痩せ我慢のような恐怖
過去のマイノリティーとして生きた時の感情
一人の辛さを抱えて、少年は進む。
たった一つの【約束】の為に。
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